今回取り上げる離婚問題は、逆DVとも表現される、妻からのドメスティックバイオレンスがテーマです。
警視庁が発表した、配偶者または恋人からのDVによる「男性被害者」の割合は急速に増加傾向にあります。
一昨年までは10%前後で推移してきた男性被害者から警察への相談件数は、昨年度は前年比の2倍にまで上がりました。
法律事務所や生活相談センター等に持ち込まれた相談件数は把握が難しいため、実際にはまだまだ多くの被害者がいることが推察されます。
ここでは、DV妻からの暴力に離婚という方法で決着をつけるための準備について考えます。
特に、被害者としての「慰謝料請求問題」と「子供の親権問題」にどう備えるべきかを解説します。
妻の暴力が原因で離婚したいケースの留意点
家庭内における妻からの暴力が日常的になれば、生活そのものが成り立たなくなります。
法律的には「婚姻を継続し難い重大な事由」は、離婚理由として明確に認められています。
但し、DV妻に離婚を切り出せば、暴力がより激しくなる危険性は充分に考えられます。
些細なことでキレる妻が相手だと、まともに離婚協議を進められないという大きな問題が立ちはだかります。
妻に離婚の意思を伝えると身に危険が及びますので、早い段階から間に弁護士に入ってもらうのが得策でしょう。
但し、弁護士は素手で離婚裁判に臨むわけではなく、然るべき「事実」と「証拠」を提示することで、相手を敗訴へと追い込みます。
「DV妻との離婚」慰謝料を請求したい
基本的に、離婚とは以下の順序で進めていきます。
夫婦間の話し合いによる「離婚協議」→調停に持ち込んで夫婦が話し合う「離婚調停」。
話し合いで決着がつかなければ、訴訟を起こし審判が下される「離婚裁判」に向けて訴訟を起こします。
夫婦の話し合いでは到底らちが明かない、身に危険が及ぶ可能性がある場合、協議はしないという選択をすることはあります。
但し日本の法律では、「調停前置主義」という考えがありますので、調停を無視して最初から離婚裁判に持ち込むことはできません。
この点については、調停を速やかに終わらせ、即座に裁判に持ち込む方法もありますので、弁護士に相談すると良いでしょう。
■慰謝料請求のために集めておくべき「証拠」とは
- 妻の暴力によって破損された物
- 夫が精神的苦痛で通院・投薬を受けたことがわかる物(診断書や通院証明)
- 夫が怪我をさせられたことがわかる物(怪我の写真、診断書、通院証明)
また、暴力は暴言とセットになることがほとんどです。
精神的に追い詰めるような脅し文句、人間としての尊厳を傷つける暴言も、でき得る限り「証拠」として集めることをお勧めします。
可能であれば暴言を録音しておく、他には妻から送られてきた暴言のメール等も、日時がわかるようにして保存しておきます。
被害の深刻さが伝われば、慰謝料の金額を上げていくことも可能ですが、「証拠」が要となるのです。
「DV妻との離婚」どうなる? 子供の親権問題
夫婦関係が最悪の状態にあったとしても、親権問題は別問題として考えることが必要です。
子供がどちらの親に引き取られた方が幸せなのかという観点で、親権は決定します。
あなたにとって手がつけられない暴力を振るう妻でも、子供に対して良好な態度と行動で接していれば、妻が親権を取る可能性は充分にあります。
親権問題においても勝訴を取るためには、やはり弁護士の力を借りるのが一番の方法でしょう。
先に述べさせていただいたような、酷い暴力と暴言の「証拠」を突きつけ、裁判官に対して妻の心象の悪さを印象づけることが大切です。
まとめ
- 妻からのDV被害件数は年々増加している
- 暴力を振るわれたことに対する慰謝料を請求するには、「証拠」が必要である
- 暴力と暴言の証拠をセットで提示できた方が、相手を敗訴に追い込む可能性は上がる
- 夫婦関係と親子関係は別問題と捉えられ、DV妻が親権を取る可能性もある
これまで妻からの暴力という理不尽な経験を強いられてきた夫であれば、「親権だけは妻に渡したくない」と思うのは当然のことです。
DV妻やモラハラ妻の中には、子供たちの前でも平気で夫に暴言を吐く人がいます。
こういった行為が、子供の精神状態や心に良い影響を与えるわけはありませんね。
ポイントは「妻が子供の監護上で問題ありの人物である」と判断されること、そして「夫は子供に積極的に関わってきた」と認めてもらえることです。
裁判では夫婦が話し合うことは一切ありません。
相手のマイナス点や落ち度を徹底的に突いていくことで、勝敗を決めるのが裁判です。
裁判においては、どちらに引き取られた方が子供にとって幸せかの「論点」を明確にしていくことが必要です。